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Project no.3
​自己を解放するための静寂の回廊

 大阪の歴史と呼応し,都市で暮らす人々の潜在意識に訴えかける空間の実現を目指した。オフィス街・住宅街・大阪城に囲まれた敷地において,傾斜した壁の配置によって,周囲の環境を外周に織り込み,施設内部へと巡るにつれて劇的な空間がシークエンシャルに展開する。様々な特性を持った場所で,アートと出会い,日常の都市活動から,非日常的な空間へと,自己を解放していくことのできる現代美術館を設計した。

​自己を解放するための静寂の回廊

​ オフィス街・住宅街・大阪城に囲われた敷地において,壁の配置と傾斜によって,周囲の環境を外周に織り込み,内部へと巡るに連れて劇的な空間がシークエンシャルに展開され,様々な特性を持った場所でアートと出会うことを可能にする。日常の都市活動から,非日常的な空間へ,自己を解放していくことの出来る現代美術館を設計した。

​01. 螺旋状の構成による空間展開

 この美術館は,彫刻作品を主な展示物として想定している。「直立した壁」と「傾斜した壁」を螺旋状に配置し,"外側に開こうとする性格"と"内側に閉じようとする性格"という2つの性格を併せ持った全体空間を創出する。そのことによって,周辺外構へと開かれた外周部の展示室から,外部の限られた情報のみが展示室に取り込まれる内部展示室へと,空間の質が劇的に変化していく。壁の操作だけでなく,敷地に元々存在した高低差を展示空間に取り込むことによって,展示室同士の起伏ある変化とスケール感を実現している。

02. 大阪の歴史と呼応し,荘厳な佇まいを持つ

 傾斜した壁が螺旋状に配置され,中央部にかけて束ねられていくことによって,全体として一体の強靭な構造体を形成する。外周部では,その傾斜は緩やかとなり,外構の緑や水辺空間の持つスケール感と展示空間とが接続する。中央部にかけて傾斜を大きくとることで,内部に取り込まれた地形と対応しながら,頭上に広がる空間と光の変化に強弱を持たせることに成功している。大阪城と向き合う敷地において,建物全体が周囲の状況と呼応し,豊かなシークエンスを場に与えることによって,この土地に荘厳な佇まいを与える。

​03. 劇的な空間のドラマを創出する

① 自然に囲まれ,柔らかな光が差し込むエントランスホール。

​② 地中に反り立つ壁が静かに待ち構える展示室。

​③ 空へと傾斜した壁の間にある展示室。訪問者は切り裂かれた谷間のような空間を,より地底に向かって巡っていく。

​④ 一筋の光のみが差し込む暗闇の空間。訪問者は壁の向こう側に見える微かな光を頼りに展示物を鑑賞する。

​⑤ 暗闇を抜け,光の向こう側へと続く階段。外部空間からの情報が極限まで制限された空間から解放されていく。

⑥ 空へと穿たれた巨大な展示空間​。限定された空間でのみ感じ取ることのできる自己との対話を可能とさせる。

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